研究課題
指紋の総隆線数の決定に関与する遺伝子多型の探索に関しては、前年度までに実施した日本人男性サンプルの中で隆線数が極端に多い群と少ない群についてのゲノムワイド多型解析(GWAS解析)の結果から、総隆線数との関係が示唆された遺伝子座の上位の13多型についてすべてのサンプル(ゲノムワイド多型解析をおこなっていないサンプル)を対象に多型解析をおこなった。しかし、13の多型のうち総隆線数と直線的な相関を示す多型は存在しなかった。また、独立した群を対象とした解析による共通の候補遺伝子の探索を目的として、女性サンプルについても同様の解析をおこなった結果、男性での解析と同様、隆線数の多い群と少ない群の2群間で分布が異なる遺伝子多型であっても、それらに統計的に有意差を認めず、また男性サンプルから抽出されたものと共通の遺伝子多型は同定できなかった。隆線数は多因子遺伝による量的形質と考えられるが、最近身長について分ってきた知見と同様、関与する遺伝子数が多く各遺伝子多型の影響が小さいことに起因する可能性が高く、遺伝子の同定を行うためにはサンプル数の大幅な追加が必要であるものと考えられる。一方、当該年度は、ヒトに特徴的な機能の1つである会話や言語の発達に関与する転写因子をコ-ドするFOXP2(forkhead box P2)遺伝子について、ヒトに特異的なアミノ酸変異を標的とし、法医鑑定に利用可能な人獣鑑別法を開発した。この方法により、1時間程度で検体がヒトに由来するのかその他の脊椎動物に由来するのかを判定でき、同時にヒトDNAが定量出来るため、その後実施する個人識別を目的とした反応にスムーズに移行できる。また、同法は市販キットよりも血液由来の阻害物質に耐性が高く実務上有用な方法であるものと考えられる。
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