【(1)正常心臓における交感神経、副交感神経の分布】これまで心臓内の交感神経を染色する方法はチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の免疫染色で可能であった。これに対し、心臓内の副交感神経を鮮明に染色する方法は確立した。心臓内の交感神経と副交感神経を鮮明に染色し、その分布領域、分布密度の差を明らかにした。副交感神経の分布はCHT(Choline transporter)、ChAT(Choline acetyl transferase)、VACht(Vesicular acetylcholine transferase)等で染色でき、分布密度は低いものの心室筋にも分布していることが明らかとなった。 【(2)心不全モデル動物における交感神経の分化転換による副交感神経化】 Dahl食塩感受性ラット(DS)を心不全モデル、Dahl食塩非感受性ラット(DR)を対照群として食塩負荷を行い、心不全ラットと対照群を作成した。これらのマウスの心筋内交感神経と星状神経節を観察し、心不全により交感神経が変化して副交感神経のマーカーであるCHTやChATを発現するようになるか否かを観察した。心不全モデルでのみ交感神経がCHTやChATを発現する神経が増加することを確認した。 【(3)心不全モデル動物における星状神経節神経の分化転換による副交感神経化】 心不全モデルにおける心筋内の交感神経が副交感神経のマーカーであるCHTやChATを発現するかどうかを免疫染色、定量的RT-PCRにより解析した。心不全の進行にともなって、星状神経節の細胞がChATを発現する様子が観察された。
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