心臓特異的にLIFを過剰発現するマウスを作成した。このモデルを用いて心臓にLIFが過剰発現した際に交感神経が副交感神経するかを観察した。3系統の異なるLIFの発現量を呈するラインが得られ、これらのマウスの心臓は心肥大を呈した。これらのマウスのうち、LIF発現量が中等度のものを観察すると交感神経が副交感神経化している様子が観察された。さらに、交感神経特異的にgp130の遺伝子発現をノックアウトしたマウスを作成するため、交感神経特的にCre recombinaseを発現するマウスとgp130-LoxPマウスを交配した。この交感神経特異的gp130欠損マウスを用いて、大動脈縮窄モデル、心筋梗塞モデル、長期ノルエピネフリン投与モデルなどで心不全を作成した。この交感神経特異的gp130欠損マウスと対照マウスを用いて交感神経の副交感神経化が観察されるかを観察した。その結果、対照マウスの心不全モデルでは交感神経の副交感化が観察されたが、交感神経特異的gp130欠損マウスでは心不全を形成しても、交感神経の副交感神経への分化転換は減弱していた。慢性心不全にて死亡した症例の剖検心例、心不全以外の原因で亡くなった症例の剖検例(年齢を一致させる)の心臓と交感神経を免疫染色し、交感神経が副交感神経化しているかを観察した。対照例6例の心臓および星状神経節では交感神経の副交感神経への分化転換は観察されなかった。これに対し、心不全例では心筋内交感神経と星状神経節の副交感神経への分化転換が観察された。
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