研究課題
【背景】オステオポンチンは炎症性のサイトカインであり、単球の遊走因子でもあり、糖尿病性腎症の病態形成に炎症を介して関与していると考えられている。また核内受容体は炎症性サイトカインの発現調節に重要である。【目的】核内受容体であるLiver X recepor (LXR)に対する合成アゴニストはオステオポンチンをはじめとする炎症惹起性のサイトカインの発現を抑制する効果が知らている。一方これらのLXRアゴニストの糖尿病性腎症に対する治療効果については詳細は知られておらず検討を行った。【方法】8週齢のC57BL/6Jマウスを用いて、ストレプトゾトシンを投与して糖尿病を誘発し、コントロール群、糖尿病群、LXRアゴニストであるT0901317投与群の3群に分けて8週間後に検討した。【結果】LXRアゴニスト投与群において血糖低下効果は認められなかったが、尿中アルブミンを有意に減少させた。組織学的検討では、糸球体肥大を抑制し、メサンギウム基質の増加も有意に抑制した。さらに尿細管間質における線維化も著明に抑制された。糸球体内のF4/80陽性マクロファージの浸潤も有意に抑制された。オステオポンチンの腎組織のmRNA発現と蛋白はLXRアゴニストの投与によって抑制された。免疫組織化学では尿細管間質にオステオポンチンの発現が確認され、LXRアゴニストにより抑制されていた。オステオポンチン遺伝子の-76にはAP-1結合配列が存在し、近位尿細管細胞であるmProx24細胞で検討したところその転写活性はルシフェラーゼアッセイによって確認された。さらにクロマチン免疫沈降法によってもAP-1の結合が確認された。これらの転写活性は高糖培養下で上昇し、LXRアゴニスト添加によって抑制された。【結論】LXRアゴニストによるAP-1を介したオステオポンチン遺伝子発現の抑制は糖尿病性腎症治療に有用であると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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