研究課題
SCA6:ポリグルタミン鎖伸長を有するP/Q型CTFが、核および細胞質でそれぞれどのような機序で細胞障害を起こすかを、培養細胞および動物モデル(既存・新規作製)を用いて解明することを目的として、初年度の研究を行った。平成21年度は、P/Q型CTFが脳内で産生され、特に患者脳では細胞質内で多数出現し凝集するのに対して、核内でも健常者には見られない可溶性画分での存在を認めた(Ishiguro K, et al. Acta Neuropathologica 2009)。研究計画は、この内容に対応する細胞モデルと動物モデルを作製することへと若干の軌道修正をした。すなわち、核移行シグナル・核脱出シグナルのそれぞれをCTFに付加して培養細胞に発現させ、luciferaseアッセイ、細胞死確認などを行った。その結果、CTFが核内と細胞質内では毒性が全く異なるという重要な発見をした。このため、年度末にかけて、各種シグナルを付加したCTFを安定発現化する培養細胞を作製。発現の変化する遺伝子の解析に着手した。さらに同様に過剰発現系マウスを作製した。また既存のノックインモデルを用いた病理学的検討から、凝集体がリソゾームマーカーと共局在することを見いだし、SCA6の変異タンパク処理機構としてはリソゾームが重要な役割を果たしている事が示唆された。SCA31:平成21年度は、まず変異配列が安定してクローニングする系を確立し、次に一過性に培養細胞に発現させる系を確立させた。年度末には細胞死の有無を変異遺伝子の長さや内容に拠った違いを検討した。SCA6・SCA31共通:本年度はCacnalaミニジーン発現系を用いて、エクソン47領域の選択的スプライシング調節機構の解析を進めるとともに、SRp75の関与について、SRp75がCacnala RNAと直接的に結合することをin vitro結合アッセイで確認し、またin situ hybridyzation法による発現解析によりヒト小脳プルキンエ細胞でSRp75が実際に高発現していることを見出した。
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Acta Neuropathol
巻: Dec 31(Epub ahead of print)