研究課題/領域番号 |
21249057
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
清野 進 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80236067)
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研究分担者 |
柴崎 忠雄 神戸大学, 医学研究科, 講師 (00323436)
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キーワード | インスリン分泌 / cAMP / Epac2 / トランスクリプトーム / インクレチン / グルコース代謝 / メタボローム / スルホニル尿素 |
研究概要 |
(1)インクレチン応答性と不応答性のマウス膵β細胞株間で遺伝子発現にほとんど差はなかったが、細胞内代謝の比較では一部の代謝物に差が認められた。またEpac2を欠損させた膵β細胞株ではcAMPシグナルによるインスリン分泌増強が障害されていた。さらにEpac2欠損膵β細胞株では野生型膵β細胞株と異なり、偽膵島を作製することが出来なかったことから、Epac2はインスリン分泌増強とともに、膵β細胞間の相互作用にも関与することが示唆された。 (2)2次元培養時ではインクレチン不応答性の細胞株でも、3次元培養によって偽膵島を形成させると、膵島と同レベルまでインクレチンによるインスリン分泌増強が上昇した。偽膵島の細胞内代謝の解析からインスリン分泌に関与する細胞内シグナルが上昇することが明らかになった。また、膵外分泌細胞を単離して単一細胞化すると前駆細胞様の細胞に脱分化した。EGFシグナルを活性化することによってカドヘリン依存性細胞接着を介した3次元のspheroidを形成し、インスリン産生細胞へ分化転換した。分化転換した細胞はグルコース応答性インスリン分泌反応を示し、インクレチン応答性も示した。 (3)膵β細胞毒であるアロキサンを投与して糖尿病(高血糖)状態にしたマウスに、インクkチンシグナルを活性化する市販のGLP-1受容体作動薬であるリラグルチドを1カ月間連日投与した。その結果、リラグルチドを投与したマウスでは血糖値の上昇が有意に抑制され、血清インスリン値は上昇傾向が認められた。膵組織の免疫化学的解析から、リラグルチド投与マウスでは、膵β細胞墨が増加していることが示された。このことから、インクレチンシグナルの活性化によって膵β細胞の再生が誘導された可能性が示唆された。さらに、任意のタイミングで膵β細胞を特異的に標識できるマウスを用いて、時間軸(4次元)も考慮してインクレチンシグナルによる膵β細胞再生のメカニズム解析を実施している。
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