1)高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染性を決定する細胞膜上の新規宿主プロテアーゼMSPL/TMPRSS13を発見しその阻害剤をスクリーニングしてきた。平成23年度の研究では、さらにこの事実を確認するためにTMPRSS13のKOマウスを作成して、高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染実験を実施した。その結果TMPRSS13のKOマウスでは、ヘマグルチニン(HA)の切断部位の配列が(KKKR)のウイルスでは、ほとんど増殖しないことが判明して、これまでの研究成果の正しいことが感染実験で確かめられた。 2)多臓器不全の発症機序:平成22年度の研究では、インフルエンザ感染による多臓器不全は、感染局所で生じた炎症性サイトカインにより全身臓器の異所性障TrypsinとMMP-9が異常増加した結果、血管内皮細胞め透過性の亢進によって起きることを明らかにして、インフルエンザウイルスーサイトカインープロテアーゼサイクル説を提唱した。平成23年度の研究ではこれをさらに進め、インフルェンザウイルスーサイトカインーミトコンンドリア機能不全の起きる機序として、エネルギー代謝にかかわる酵素とその転写因子の同定を行った。その結果、糖代紺経路の中で、Pyruvate Dehydrogenaseの活性低下が、糖代謝と脂肪代謝の切り替えに関於し、さうにその上流の転写因子のPGC1αこれらの酵素活性の変動に関与していることを明らかにした。
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