申請者が設立・管理するてんかん遺伝子バンクを利用し、脳に発現するイオンチャネルに的を絞り、遺伝子変異をスクリーニングし、あわせて発見された変異チャネルの電気生理学的異常をex vivoで検証した。さらにヒトで発見されたチャネル変異を持つてんかんモデル動物を作出し、チャネルの異常がてんかんの発症へとつながる過程を明らかにし、てんかんの分子病態をin vivoで明らかにした。 具体的には全国より「遺伝子診断依頼」として寄せられるサンプルより乳児重症ミオクロニーてんかんで100種類に及ぶSCN1Aの新規遺伝子異常を発見した。さらに、十数種のKCNQ2遺伝子異常を発見し、その変異チャネルの電気生理学的異常をex vivoで検証した。また、ヒトてんかんと同じ遺伝子異常を持つ遺伝子組換えラットの作出に成功した。引き続いて、KCNQ2遺伝子に変異を持つ可変型ノックインマウス三系統の作出に成功した。(論文投稿中) これらの研究により申請者らは、小児てんかん患者のイオンチャネルの異常を迅速かつ継続的に同定・解析を行える施設、システムを確立した。また遺伝子組換えラットの作出と、新しい手法の可変型ノックインマウスの作出が安定して行えるようになった。 今後も、遺伝子解析と動物作出によるてんかんの病態解明に努めるが、さらに、この一連の研究の最終目的である"分子病態に基づく革新的な治療法を開発"に展開する予定である。
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