交付申請書の目的I.てんかん遺伝子バンクの資料をもとに、てんかんの責任遺伝子を同定・解析する。 1)女性に限定するてんかんと精神発達遅滞の責任遺伝子であるPCDH19の遺伝子変異の検索をDravet症候群や類縁疾患を疑われ、SCN1A遺伝子解析依頼のあった女性患者120例を対象として実施した。その結果7例にPCDH19変異を認めた。ナンセンス変異2例、フレームシフト変異2例、ミスセンス変異3例で、全てエクソン1に存在した。 2)Dravet症候群の原因として、Naチャネルαサブユニット1の遺伝子SCN1Aの遺伝子変異を多数発見し、報告してきた。これを更に発展させるため、同チャネルのSCN9Aの遺伝子変異・多型が病状の修飾因子となっているのではないかをDravet症候群の患者246人と健常対照者281人を対象に調査した。その結果SCN9Aの遺伝子変異そのものは、Dravet症候群の原因とならないが、その修飾因子となることが示唆された。 3)韓国と日本人の常染色体優性夜間前頭葉てんかんの家系で発見された、ニューロンニコチン性アセチルコリン受容体α4サブユニット遺伝子CHRNA4の変異Ser284Leu変異のfounder effectについて解析した。その結果、2つの家系の変異は独立して発生したものと確認した。 4)そのほか(1)ヒトの脳標本を用いて、SCN1AとSCN9Aの時間的空間的な発現の変化を明らかにした。(2)良性乳児けいれんにおけるLG14遺伝子の関与を明らかにした。(3)GBARG2の遺伝子変異をあるてんかんで見いだした。(4)そのほか、各種のてんかんで遺伝子変異を発見報告した。 交付申請書の目的II.見出された遺伝子変異を有するモデル動物を作出し、その分子病態を明らかにする。 新しい手法で作出した二種類のノックインマウス(KCNQ2に二種のミスセンス変異を有す)を使用して、スライスパッチ法とフラビン蛍光イメージング、とIntrinsic Optical Signalsを用いて、大脳皮質の胃興奮性を明らかにした。
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