研究課題/領域番号 |
21249065
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白土 博樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20187537)
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研究分担者 |
本間 さと 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20142713)
玉木 長良 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30171888)
芳賀 永 北海道大学, 大学院・先端生命, 准教授 (00292045)
但野 茂 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50175444)
石川 正純 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80314772)
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キーワード | 量子線シミュレーション / 電子線トラック解析 / モンテカルロ法 / 放射線治療 / プラスチック検出器 / 体幹部定位放射線照射 / 非線形最適化 |
研究概要 |
放射線を軸に、ナノレベルの物理現象から社会的存在としての患者まで生体の動体追跡科学の基盤研究を行った。 電子線トラック特性解析から細胞生存率モデルを提案した。 DNAの二本鎖切断のうち修復されずに残るものの数がPoisson分布し、それが潜在的致死(PL)損傷であると仮定するNLP(Non-Lethal Probability)モデルによって、照射後の細胞の生存率をより適切に説明できた。 細胞への放射線効果の予測を統計学的に行う際には、解析対象を分布値で表現する解析法を導入することで、より正しく記述できることが示唆された。 ひと由来がん細胞が軟らかい基盤上の動きを観察したところNF-κBやLOXとの関係がわかり、細胞のゲル器質内への侵潤の3次元的観察系を構築する基礎が整った。 マウス体内の各部位における遺伝子発現をリアルタイムに長期間、自由行動中の動物から計測する小動物内の分子の動体追跡技術を開発した。ルシフェラーゼレポーターを用い、体表からの微弱発光レベルの三次元空間における長期間追跡を行うことができ、定量的追跡への土台が整った。 サルの脳定位照射・動体追跡照射の実験を可能にするために、準備的検討を行った。大動物の動体追跡実験が可能になると、生理学的検討に使える可能性が高い。 ひとがん組織の放射線治療後の腫瘍の変化を定量的に記載し、予測するためのモデルを構築した。 ひとがん腫瘤の動体追跡のために体表面のマーカーを利用すること、消化器への金マーカーの刺入を容易にする工夫、金マーカーの代わりにPETからの信号を利用した位置決め、FDGに加えてFMISOを利用した治療計画などを検討し、新たな次元の動体追跡照射の研究開発の可能性が示唆された。 肺癌患者へ動体追跡放射線治療により、手術不能群の局所制御率83-93%で有害反応も少なく、有効性が示されたが、T2での成績が不十分であった。
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