研究課題/領域番号 |
21249066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 章吾 東北大学, 大学院・医学系研究科, 名誉教授 (60158194)
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研究分担者 |
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10173098)
白土 博樹 北海道大学, 医学研究科, 教授 (20187537)
根本 建二 山形大学, 医学部, 教授 (10208291)
西村 恭昌 近畿大学, 医学部, 教授 (00218207)
早渕 尚文 久留米大学, 医学部, 教授 (20108731)
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キーワード | 放射線治療 / 早期の癌 / 標準的放射線治療 / 臨床試験 / 放射線適応 / 放射線感受性 / QOL / PET |
研究概要 |
画像診断の進歩により早期の癌が高率に発見されるようになり、また放射線治療成績の向上、QOL重視の中で早期のがんに対する放射線治療の役割が急増している。しかし、治癒の可能性の高いこれらの癌に対する標準的放射線治療方法(照射野、照射方法、線量分割法、総線量、化学療法との併用など)は確立していない。私どもの研究班ではすでに早期の頭頸部癌、食道癌、肺癌、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌などを対象として、全国集計によるretrospectiveな解析と文献データによるエビデンスの収集を行い、その結果に基づいて標準的と考えられる放射線治療方法提示を行った(早期のがん治療法の選択-放射線治療-、金原出版)。その過程で標準的放射線治療方法確立のための様々な臨床試験が提案された。今回は臨床試験を全国多施設で実施し、早期のがんに対する標準的放射線治療方法を確立すると同時に、手術との適応をより明確にするために早期のがんの放射線感受性を明らかにする。各種臓器がん毎に臨床試験を検討し、プロトコールを作成した。早期頭頸部癌に対するTS1併用化学放射線療法の第1、2相試験、早期の食道癌を対象とした照射野設定に関する第2相臨床試験および化学放射線療法併用に関する第2相試験、乳房温存術後照射の照射基準に関する臨床試験、腎臓癌に対する定位放射線治療の第1,2相試験、子宮頸癌に対する低総線量第2相試験、前立腺癌に対するIMRT(強度変調放射線治療法)による線量増加試験、肛門癌に対する化学放射線療法の第1、2相試験、ギメラシルの放射線増感効果に関する医師主導第1相臨床試験、並びに粒子線による臨床試験などについて検討した。すでに臨床試験に入った研究、プロトコール検証段階の研究、また登録症例数の予備調査を行っている研究がある。今年度は、さらにPETなど画像診断および生検組織標本による分子生物学的指標と予後との相関を求める研究や、照射後のQOLに関する調査研究などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種早期のがんに対する放射線治療に関する全国集計によるretrospectiveな解析と文献データによるエビデンスの収集に基づいて標準的と考えられる放射線治療方法の提示はすでに行った(早期のがん治療法の選択-放射線治療-、金原出版2006、特集・放射線治療:切らずに治す早期の癌、映像情報Medical2008)。各種早期のがんに対する標準的放射線治療方法確立のための臨床試験を現在展開中である。すでに臨床試験に入った研究、プロトコール検証段階の研究、また登録症例数の予備調査を行っている研究があり、おおむね順調に進行している。当初予定に入れていなかった放射線治療後のQOLに関する詳細な調査も開始した。
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今後の研究の推進方策 |
各種の早期のがんに対する標準的放射線治療方法確立のための臨床試験を現在展開中である。臨床試験の結果を得るには少なくとも数年はかかるので、研究の継続が必要である。また臨床試験には多大な経費を必要とするので、本研究班では課題の掘り起こしとプロトコールの作成までを行っている。実際の研究はJCOGや日本医学放射線学会および日本放射線腫瘍学会と協力して行っている。また、早期のがんは手術あるいは放射線治療との選択が問題になるが、放射線治療は最近増えてきたばかりで治療後のQOL調査が十分に行われていない。今年度は放射線治療後のQOLについても詳細に検討し公表する予定である。
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