研究課題/領域番号 |
21249069
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
|
研究分担者 |
伊藤 精彦 東京大学, 医科学研究所, 講師 (90241984)
金本 彰 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10386021)
佐藤 まりも 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50401253)
|
キーワード | 腫瘍免疫 / 細胞療法 / 遺伝子治療 / 臨床研究 / ウィルスベクター |
研究概要 |
遺伝子治療ならびに細胞療法は、がんを含む多様な疾患に対する新規治療法として利用できる基幹技術である。しかし、その臨床開発に不可欠な臨床用遺伝子導入ベクターの作製は、これまで海外に委託せざるを得なかったため、臨床開発に支障を来すことも多かった。このような状況を打開するため、Interleukin-12(IL-12)発現アデノウイルス・ベクター(Ad-IL-12)を自ら作製し、それを用いたIL-12遺伝子導入樹状細胞による癌免疫遺伝子治療の早期臨床試験につなげることを目指して研究を開始した。本年度は、これまで開発してきた製造工程をさらに改良し試薬を作製した。そして、この試薬が米国FDA (Food and Drug Administrations)の定めるGMP (Good Manufacturing Procedure)基準を満たすものか否かを検討するとともに、この試薬の特性を生かした臨床試験プロトコール原案を作成し、申請の際に必要となると考えられる前臨床試験についても検討を進めた。臨床試験では、皮膚・皮下に転移巣を有する進行メラノーマ患者に対し、IL-12遺伝子を導入した未熟樹状細胞を腫瘍内投与する。この方法により、投与された部位の腫瘍の縮小を図るだけではなく、局所にて獲得された腫瘍抗原が樹状細胞の機能により全身的抗腫瘍免疫反応を惹起することを期待するものである。加えて、治療効果の更なる増強を図るための開発研究として、生体内においてアポトーシスに陥った腫瘍細胞を樹状細胞が貪食する機構において重要な働きを持つオプソニンの一種であるMFG-E8に着目し、この機能を阻害する抗体を用いて、特異的免疫反応をさらに増強する方法を検討した。これらの成果を基に、腫瘍免疫において重要である複数碗機序を同時に制御できる方法の開発を進めている。
|