研究課題
マウスを対象とした検討においてb細胞株を用いることにより膵島スフェロイドが創出可能であることを既に確認していることから、米国ベイラー大学医学部松本慎一教授との共同研究(予定)によりヒト分離膵島を輸入し、これらの検体からヒトb細胞株を樹立することでヒト膵島スフェロイドの創出へ向けた準備を進めた。すなわt、機能的ヒト膵β細胞株は存在しないため、新たにヒト膵β細胞株を樹立することを目的として、細胞株樹立のためのレンチウイルスベクターの構築を行った。この際、複数のタンパク質を発現させるために複数のウイルスを導入するのではなく一つのウイルスからポリシストロニックに複数のタンパク質(最大4個程度)を発現させることのできる2Aシステムを用いることで、複数のウイルスを感染する場合よりも遺伝子変異の可能性が少ない膵β細胞株を樹立することを意図した。今後、、本ベクターを用いて膵β細胞の維持に重要なBmil遺伝子と共にTert、βカテニン等を導入し、効率の良い細胞株樹立に最適な導入遺伝子の組み合わせを探索する予定である。ヒト膵島の血管化を目的として、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)とヒト間葉系幹細胞(hMSC)を用いて、I型コラーゲンゲル包埋三次元培養によるヒト微小血管ネットワークの再構築を行った。すなわち、ゲル包埋した細胞をNOD/scidマウスのクラニアルウインドウ内に移植することにより、生体内でのヒト微小血管ネットワークの再構築を試みた。ゲル移植後のマウスにRhodamin-Dextranを静注し蛍光顕微鏡下にて観察することで、再構築された微小血管ネットワーク構造における血流動態解析を実施した。クラニアルウインドウ内に再構築されたヒト微小血管ネットワーク構造はhMSCに裏打ちされたHUVECから構成され、移植後有効な血流を伴って維持されることが示された。
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