研究課題/領域番号 |
21249073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 隆 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80433655)
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研究分担者 |
許 俊鋭 東京大学, 医学部付属病院, 特任教授 (30153232)
山崎 健二 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30241087)
巽 英介 国立循環器研究センター, その他の部局等, 部長 (00216996)
小野 稔 東京大学, 医学部付属病院, 教授 (40270871)
五條 理志 東京大学, 医学部付属病院, 特任准教授 (90316745)
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キーワード | 補助人工心臓 / bridge to recovery / 心臓リハビリテーション / 心不全 / 心筋酸素消費量 |
研究概要 |
自己心機能回復を目指した補助人工心臓による心臓リハビリシステムの構築を目指して、本年度は補助人工心臓制御システムを用いた心不全モデルに対する急性実験および覚醒下での慢性実験にてシステムの有効性評価を行った。 昨年度までに作成した制御システムを用いて15頭の成山羊に対してマイクロスフェアの冠動脈動注によって急性虚血性心不全を作成し、急性実験を行いより臨床に近い心不全状態に対するシステムの有効性の評価を行った。本実験において、上記システムにて駆動するEVAHEARTを左室心尖部脱血・下行大動脈送血にて生体内に植え込み、様々な条件にて駆動させた際の心筋酸素消費量と冠動脈血流量の変化を計測した。制御法として自己心電図同期下に拡張期に回転数を上昇させるCounterpulseモードと収縮期に回転数を上昇させるCopulseモードを用いた。Copulseモードにおいては拡張末期左室圧と心筋酸素消費量が有意に上昇した。Counterpulseモードでは冠動脈血流が有意に増加した。また、心筋酸素消費量の実測値と圧容積面積の間には有意な相関関係が成立していることが示された。これらの結果は昨年度に不全心急性期モデルで得られた初期成績と同様であり、本システムが収縮力が低下した心不全状態に対しても有効に駆動できることを示している。また、8頭の成山羊に対してマイクロスフェア冠動脈動注およぎラピッドペーシング法にて作成した、慢性心不全モデルによる検討でも、急性実験とほぼ同等の結果が得られた。以上の結果より、本研究の最終目的である自己心にかかる負荷量を自由に調整することができるシステム(Native Heart Load Control System NHLCS)の構築が現在の制御システムによる自己心拍同期モードによって可能であり、臨床においても使用可能である可能性が示唆された。
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