(1)CED法における脳内薬剤分布シュミレーションソフトウエアの開発 東北大学大学院医学研究科神経外科学分野と流体科学研究所の共同研究として以下の研究を行った。まず東北大学大学院医学研究科神経外科学分野にて正常カニクイザルを使用し定位脳手術装置を用いてカテーテル挿入後、CED法による薬剤注入を行った。薬剤として、MRI用造影剤Meglumine gadoterate20ulを用いた。得られたDICOMデータを用い流体科学研究所に設置されているスーパーコンピューターで解析をおこなった。既存のシュミレーションの数式を用いると、カテーテル周囲にほぼ球形の分布が得られるが、実際の薬剤分布と比較し一致率が低いことが明らかとなった。一方で、カテーテル穿刺部への逆流を考慮し、流路として穿刺部を設定すると、より一致率が高くなることが明らかとなった。 (2)CED注入システムの研究開発 東北大学大学院医学研究科神経外科学分野と医工学系研究科の共同研究として以下の研究を行った。現在使用されているCED用カテーテルは外径1.5mm程度であるが、実際の留置には外径2.1mmの挿入用ニードルを使用しており、薬液の逆流を生じる大きな原因となっている。そこで挿入用ニードルを使用せずに脳内への留置が可能なカテーテルを開発するために、CEDカテーテル専用のニードルを作製することとした。ただしニードルを使用し挿入する際、ニードル抜去後のAirが薬剤注入の妨げになる可能性が危惧されるため、専用のAir抜きシステムを採用することとした。外径は1.2mmの金属針に0.2mmの溝を20cmにわたり加工し、ニードルを作製した。今後作製したカテーテルを用い分布実験を行う予定である。
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