研究概要 |
平成22年度はマウスの正常膝関節および変形性関節症モデルマウスの膝関節軟骨の凍結切片を作製し、Laser Capture Microdissection法で関節軟骨のみを切り出し、RNAをQIAGEN社RNeasy kitで抽出後、Affymetrix社のプロトコールに準じてそれぞれのRNAからラベルしたcRNAを作製後、Affymetrix社GeneChipによるマイクロアレイ解析を行い、それぞれの遺伝子発現プロファイリングを比較した。また、Sox9により発現誘導される遺伝子解析は、Sox9-EGFPマウスの軟骨およびSox9-EGFP null chimeraからEGFP陽性細胞をFACSで単離し、上述と同様にAffymetrix社GeneChipによるマイクロアレイ解析を施行した。それぞれのデータから2倍以上の遺伝子発現量の相違が見られる遺伝子をin situ hybridization法を用いて関節軟骨でのin vivoの発現を確認した。変形性関節症モデルマウスで発現亢進する遺伝子はMMP9,MMP13などがpositive controlとして確認され、その他に変形性関節症での役割が分かっていない遺伝子も同定された。また軟骨においてSox9で発現誘導される遺伝子は、Col2a1,Col11a2,Matrillin-1などがpositive controlして確認され、その他にもいくつかの遺伝子が同定されている。これら遺伝子の軟骨細胞での機能を確認するために、マウス軟骨細胞株ATDC5細胞およびマウス胎性間葉系細胞株C3H10T1/2細胞にそれぞれの発現ベクターをlipofectionで導入し、Alcian blue染色による軟骨結節形成能およびCol2a1、Aggrecan、Col10a1遺伝子発現に対する効果を検討した。その結果、現在、変形性関節症関連遺伝子として1つ、Sox9による発現誘導される遺伝子1つに絞り込み、in vitroおよびノックアウトマウスを用いたin vivoでの機能解析を実施しているところである。
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