研究課題
【目的】運動器損傷対してヒト末梢血由来CD133/CD34陽性細胞や骨髄間葉系幹細胞を移植し、体外からの装置で移植細胞をコントロールして損傷部へ効率的に集積させ、運動器損傷再生を促進させる。[方法]移植細胞の動態をin vivo imagingで解析するため、ルシフェラーゼ遺伝子導入ラットの骨髄から間葉系幹細胞を培養樹立した。野生型ラットの前脛骨筋に損傷を加え、以下の3群を作製した。MSC+M群:損傷部が磁場勾配の頂点となるように体外磁場発生装置を設置して、MRI用造影剤で磁気標識した間葉系幹細胞を筋損傷部へ注入し、磁場を10分間作用。MSC群:非外磁場下に細胞を注入。PBS群:磁場作用下にPBSのみを注入。In Vivo Imaging Systemを用いて、細胞移植後の移植細胞の動態を経時的に観察し、損傷筋の電気生理学的および組織学的評価を行った。[結果]In Vivo Imagingにおいて、MSC+M群ではMSC群に比べて、磁場勾配に従って移植細胞が損傷部へと集積しており、長期間にわたって移植細胞が残存していた。電気生理学的評価において、術後1週ではMSC+M群はPBS群に比べ有意に筋力が強かったが、MSC群との有意差は認めなかった。一方、術後4週では、MSC+M群における筋力はPBS群、MSC群のいずれよりも有意に強かった。組織学的評価では、術後1週でMSC+M群、MSC群ともにPBS群と比べ有意に瘢痕形成が少なかったが、MSC群とMSC+M群との間に有意差はなく、術後4週ではMSC+M群、MSC群、PBS群の順に瘢痕形成が少なく、3群間に有意差を認めた。[考察]磁場作用下では移植細胞が筋損傷部へ集積するとともに長期間残存する傾向があり、移植細胞の生着・生存の促進が筋修復効果の増強へとつながった可能性がある。
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