研究課題/領域番号 |
21249085
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森川 康英 慶應義塾大学, 医学部, 講師(非常勤) (90124958)
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研究分担者 |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70190197)
渕本 康史 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (40219077)
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
仁尾 正記 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70228138)
滝田 順子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00359621)
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キーワード | 横紋筋肉 / 臨床試験 / 中央病理診断 / 胞巣型 / 胎児型 / PAX3,7/FKHR / microRNA / miR-206 |
研究概要 |
[横紋筋肉腫に対する臨床試験(JRSG-I)] 低リスクA群・低リスクB群に関する臨床試験を継続中。平成11年度の一次登録症例数は28例。Grade4の非血液毒性が1例、予期しないGrade3の有害事象1例、治療非関連死1例であった。中間リスク群試験の症例登録は終了し、暫定5年 Progression Free Survival 80.0%、5年 Event Free Survival 77.5%、5年Over All Survival 78,6%となった。 高リスク群試験は現在最終解析中で、プロトコール治療完了22例、PDによる中止2例、その他の理由による試験中止10例であり、無増悪生存16例、再発/増悪生存4例、死亡14例となった。治療関連死と報告された症例及び治療期間中又は治療終了30日以内の死亡はみられず、予想されたGrade4の非血液毒性は22件であった。中央病理診断には2011年は20例が送付されたが、施設病理診断との一致率は今年度は56%に留まり、その結果2例が中間リスクから高リスクへリスク変更が行われている。胞巣型腫瘍63例にキメラ遺伝子解析が行われ、このうち50例(79%)にPAX3,7/FKHRキメラ遺伝子陽性が認められている。胎児型と病理診断された症例はすべてキメラ遺伝子が陰性であった。 [基礎研究] 小児がん患児31例(横紋筋肉腫7例を含む)、成人健常人ボランティア17例を対象として、筋特異的microRNAの定量を行った。血清中の筋特異的microRNAの発現は、非横紋筋肉腫小児がん症例や健常人に比して、横紋筋肉腫症例において有意に増加していた(p<0.05)。特にmiR-206は、ROC曲線下面積0.967(95% confidence interval,0.912 to 1.000)、感度1.0、特異度0.913(カットオフ値2.1×10^3)と高い診断精度を示した。治療前後のペア血清が得られている横紋筋肉腫4例では治療後に筋特異的microRNAの発現の低下を認めた。腫瘍と血清の双方を検討できた横紋筋肉腫6例、非横紋筋肉腫8例では、腫瘍と血清の筋特異的microRNAの発現に有意な相関を認めた(p<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床試験における登録症例数がすべてのリスク群において当初の予測を下回ったために、試験期間の延長を行わざるを得なかった。 その主たる理由は厳格な臨床試験体制への参加施設の対応が未成熟であったことに加えて、施設病理診断と中央病理診断の不一致によるリスク変更である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床試験については参加施設にとって煩雑となる複数のデータセンターをすでに統合した。 今後試験デザインの一部を共通化することにより、リスク変更にも対応できるようにする。 再発例に対するプロトコールを準備すること。 症例のエントリーを施設病理診断と同時に中央病理診断からも直接行えるようにすることなどにより効率ある臨床試験の構築をはかる。
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