研究概要 |
基礎的検討 1.薬物によるニコチン性アセチルコリン受容体刺激が、TNFαを介したprotease-activated receptors(PARs,PAR1,PAR2,PAR3,PAR4)発現を制御して凝固線溶活性化によるDIC発症を抑制すること、その結果多臓器不全(multiple organ dysfunction syndrome,MODS)への進展を予防し敗血症症例の予後を改善すると言う仮説証明を目的とした基礎実験を開始した。LPS誘発ラット敗血症モデルを使用し、薬物として選択的ニコチン性アセチルコリン受容体刺激薬JN403(NOVARTIS)と同受容体拮抗薬mecamylamineを選択した。 2.予備実験:TNFαの最大産生を起こすLPS静注量ではJN403がその産生を抑制できないことを確認した。そこでTNFα最大産生90%を起こすLPS量の使用量を確認するために、LPS量によるTNFα産生の濃度反応曲線を得てLPS静注量を決定した(15mg/kg)。同時に文献検索により刺激薬(3.0mg/kg)と拮抗薬(2.0mg/kg)を決定した。 3.臓器不全実験:脳、肺、心、肝、腎、血液(DIC)を標的として、対照群、LPS,LPS+JN403,LPS+JN403+mecamylamineの4群を設定して2010年11月に実験を開始し、現在結果を集積中である。 臨床的検討 生体侵襲として敗血症と外傷を選択し、生体反応としてのDIC/MODS発症の病態生理を検討した。微小血管血栓形成による多臓器不全発症の病態生理、線溶系抑制型DICによる臓器不全発症の病態生理等を明らかにし、その内容を国際学会で発表し、英文誌上に総説および原著論文として公表した。〔727文字〕
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