研究概要 |
具体的内容 1.ニコチン性アセチルコリン受容体刺激が、TNFα/IL-6発現を制御して凝固線溶活性化によるDIC発症を抑制すること、その結果多臓器不全(multiple organ dysfunction syndrome, MODS)への進展を予防し敗血症症例の予後を改善すると言う仮説を検討した。LPS誘発ラット敗血症モデルで非選択的ニコチン性アセチルコリン受容体刺激薬nicotineと同受容体拮抗薬mecamylamineを使用した。2.標的臓器を肺臓として対照群、LPS, LPS+nicotine, LPS+nicotine+mecamylamineの4群を設定してTNFα, IL-6, VEGF, PAI-1産生と発現を血清と肺臓で測定した。投与薬物量は予備実験で設定したLPS(15 mg/kg)、刺激薬(2.0 mg/kg)、拮抗薬(2.0 mg/kg)を使用した。3.Nicotineによるアセチルコリン受容体刺激は、炎症性サイトカインTNFα/IL-6の発現を一部拮抗したが、血液ガス所見および肝腎機能、VEGF, PAI-1値に大きな影響を与えなかった。 意義 昨年使用した新規選択的アセチルコリン受容体刺激薬JN403の同受容体への作用が弱いことが判明したために、今回は非選択的ではあるが確実に同受容体を刺激するnicotineを使用して実験を行った。従来の報告を参考にして用量を決定したが、LPS15mg/kgに拮抗するためには用量が少ないことが判明した。拮抗薬mecamylamineの用量は十分と評価した。これらの結果に基づきnicotine用量を4.0mg/kgに増量することを決定し、新たな実験を施行することとした。
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