研究課題/領域番号 |
21249088
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
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研究分担者 |
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50314753)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
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キーワード | 口腔癌 / 浸潤 / 転移 / 血管新生 / 微小環境 / microRNA |
研究概要 |
本年度は、我々が以前に口腔癌の浸潤に関わる因子として同定したPeriostinのリンパ管新生の促進という新たな機能を明らかにした。Periostinは、SrcやAktの活性化を介して、直接リンパ管内皮細胞の管腔形成や遊走能を促進するとともに、リンパ管新生に重要なVEGF-Cの分泌も促進することを明らかにした。また、昨年度にPeriostin、IFITM1、Wnt5Bの過剰発現した口腔癌細胞とコントロール細胞の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイにより検討し、共通して発現の高い因子として細胞外マトリックスメタロプロテアーゼであるMMP10およびMMP13を同定し、MMP-10が口腔癌の浸潤に関わることを報告したが、本年度は、MMP13が、直接、血管内皮細胞に作用して、血管新生を促進することを明らかにした。また、MMP13が繊維芽細胞のVEGF-Aの分泌を促進することも明らかにし、これら機構にERKやFAKの活性化が関与することを詳細に解析した。さらに、様々な生命現象に関わることが明らかになりつつあるmicroRNAについて、口腔癌の浸潤に関わるmicroRNAを同定するため、親株とその細胞から分離した高浸潤能を有する細胞におけるmicroRNAの発現をアレイを用いて、網羅的に検討し、すでに上皮間葉移行(EMT)に関わることが報告されているmiR-200 familyやその機能が未だ明らかにされていないmiR-203の発現低下が口腔癌の浸潤に関わることが明らかとなった。miR-203の標的遺伝子を検索するため、Ago-2抗体で免疫沈降したRNAをマイクロアレイで解析することにより、標的遺伝子を網羅的に検索し、そのひとつとして、E-cadherinのリプレッサーであるSlugを同定した。また、miR-203がEMTを誘導する過程で、ヒストン修飾に関与する可能性が考えられたため、現在、その詳細を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔癌の浸潤に関わる因子として同定したものに、リンパ管新生や血管新生への関与を明らかにすることができた。さらに、口腔癌の浸潤に関わるmicroRNAをいくつか同定することができた。さらなる詳細なメカニズムの解析が必要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究は、おおむね計画どおりに遂行しているので、次年度も計画通りに行いたい。
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