研究課題
PRIP (phospholipase C-related, but catalytically inactive protein)が開口分泌の調節に如何に関わっているかを解明する事を目的として実験研究を継続し、以下の結果を得た。(1)機械的あるいはジギトニンで漏出化したPC12細胞を用いて、RDE(電気的シグナルで開口分泌をアッセイする方法)あるいは[^3H]ノルアドレナリン(NA)放出によって開口放出のアッセイを広範囲にわたって行い、全長PRIPあるいはPHドメインが抑制することが分かった。この抑制はCAPS (Ca^<2+>-activated protein for secretion)と細胞膜ボスホイノシチドを競合するためである事が想定された。しかし、全長PRIPを用いた際にはPHドメイン単独よりも抑制程度が強かった。(2)そこで、昨年度の実験でホスホイノシチドには結合しないことが分かったC2ドメインに再び注目して実験を重ね、C2ドメインがSNARE分子群のなかのsyntaxinやSNAP-25と結合することを明らかにした。(3)SNARE複合体の形成を試験管内でアッセイする方法を確立し検討したところC2ドメインはSNARE複合体の形成を抑制した。このことは、全長PRIPと単離したPHドメインで観察した抑制程度の相違を説明する。(4)SNAP-25はサイクリックAMP刺激によってリン酸化されるが、試験内実験でも生細胞を用いた生理的な実験でも観察され、開口分泌の亢進とパラレルであった。PRIPが存在するとサイクリックAMP刺激による開口分泌の亢進は一過性であった。一方、PRIPが存在しない細胞では継続した亢進が認められ、SNAP-25の脱リン酸化程度との平行性が認められた。PRIPはSNARE分子のリン酸化調節を介しても開口分泌の制御に関わっている可能性が示された。
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http://www.dent.kyushu-u.ac.jp/sosiki/a04/index.html