研究概要 |
当該年度は、看護系大学の学士課程における助産学専攻学生の分娩介助を含む産婦ケア能力の育成を目標にして有効な授業方法を検討し、演習や実習および開発した教材の有効性を検討するための評価をするという計画を立てて実施した。 第1班では、学内演習における教育方法の開発を目標にしており、(1)分娩見学を学内演習前に実施することで、実際の産婦ケアへのイメージを持ちながら各自の学習課題を明確にし、学内演習に臨むことを目標にした、(2)次に、見学とOSCEを連動させて学びを深める内容にしたこと、(3)OSCEの効果を上げるために児心音の聴ける分娩監視装置の教材開発や模擬患者を工夫することにより、臨場感のある出産場面を設定した。 第2班では、(1)前年度までに作成した産婦ケアの実習評価表により、学生の1~2,5,8,10例目の学生および実習指導者による評価を行い、それらのデータを収集して、前年度との比較を行い、学生間や指導方法による差等を明らかにした。 第3班では、学生ならびにベテラン助産師の手掌圧の変化をモニターカメラで観察して、そのデータを分析した結果、母親の会陰の状態つまり児頭の下降にしたがって、左右の手掌の協働作業と左右の5指の圧が変化する状態を視覚的に表現できることを明らかにした。教材作成会社と交渉して、それらのデータによる助産師の教材開発の可能性について検討した結果、分娩介助における助産師の左右の手掌圧に着目して、児頭の産道内下降に応じて手掌圧の変化を学習できる視聴覚教材として、CD教材の開発のめどをつけることができた。第1から第3班までの各班が行った教育方法の開発結果の統合的な使用は、産婦ケア能力の育成に効果を上げるものであるとの確信が得られた。これらの結果は、これまで日本看護科学学会の交流集会において、報告し、参加者と共有してきた。
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