研究目的は、第1に患者教育のための看護実践モデルである「看護の教育的関わりモデルver.6.1」を用いたアクション・リサーチを行い、モデルの適用、および看護職の患者教育に対する認知・態度・行動の変化とそのメカニズムを明らかにすることである。第2に「看護の教育的関わりモデルver.6.1」を構成する中心概念の1つである「生活者としての事実とその意味のわかち合い」を介入内容とした無作為化比較臨床研究を行ない、「看護の教育的関わりモデル」が、看護師および患者の意識および行動に変化をもたらすかどうかを明らかにする。 平成21年度は、第1部のアクションリサーチを東京(駿河台日本医科大学病院)・名古屋(名古屋記念病院)・福岡(九州大学医学部附属病院)の3施設で研究参加者の臨床看護職ともに実施した。アクション・リサーチは、24名のメンバーのうち20名(大学所属研究者12名、専門看護師(慢性疾患看護)2名、認定看護師(糖尿病看護)1名、糖尿病療養指導士の資格を持つ看護部長・師長・主任各1名、患者教育を専門とし修士の学位を持つ臨床スタッフ2名)研究者と研究参加者で行われた。月1回の全体会議と施設ごとの小グループ単位での検討を随時(おおよそ月1~2回)行なった。結果は、11月28日には日本看護科学学会に口頭発表した。 「看護の教育的関わりモデル」を用いた(1)病棟看護師主導のアクションによる看護師の変化、(2)院内教育担当者のアクションによる看護師の変化、(3)大学研究者からのアクションによる看護師の変化で分析した。参加者は当初、患者教育とは療養に必要だと看護師が考えた知識を患者に伝えることという認識を持っていたが、患者教育は患者の言動や関わりから生まれる反応に合わせて進めていくものという認識へと変化し、他の看護師も患者の反応に注目し、記録や申し送りで患者の反応が詳細に伝えられるようになった。
|