研究目的は、第1に患者教育のための看護実践モデルである「看護の教育的関わりモデルver.6.1」を用いたアクション・リサーチを行い、モデルの適用、および看護職の患者教育に対する認知・態度・行動の変化とそのメカニズムを明らかにすることである。第2に「看護の教育的関わりモデルver.6.1」を構成する中心概念の1つである「生活者としての事実とその意味のわかち合い」を介入内容とした無作為化比較臨床研究を行い、「看護の教育的関わりモデル」が、看護師および患者の意識および行動に変化をもたらすかどうかを明らかにすることである。 最終年度の今年度は、目的1に関して、駿河台日本医科大学病院)・名古屋(名古屋記念病院)・福岡(九州大学医学部附属病院)の3施設で実施したアクション・リサーチを24名のメンバーで分析した。その結果、患者教育に対する認識変化、日常ケアで積極的関わりへの行動変化等が認められた。看護系雑誌にアクション・リサーチ4論文を投稿準備している。また、モデルの適用、看護職の患者教育に対する認知・態度・行動の変化とそのメカニズムに関しては、引き続き分析をつづけ、モデルは、定義を明示するための検討に入っており、その結果、モデルはver.6.1から「看護の教育的関わりモデルver.7.0」に改定された。 目的2の「生活者としての事実とその意味のわかち合い」を介入内容とした無作為化比較臨床研究に関しては、介入群45名と対照群43名が事後テストまでを完了し分析も終了した。「食事療法のつらさ」「食事・運動等の療養行動」「糖尿病コントロール状況:HbA1c」への介入効果に関して分析した結果、「食事・運動等の療養行動」の一部に関して介入群と対照群に有意な差がみられ、介入群の行動の方がよかったが、「食事療法のつらさ」「糖尿病コントロール状況:HbA1c」に関しては、有意差は認められなかった。
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