研究課題/領域番号 |
21251011
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
池谷 和信 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (10211723)
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研究分担者 |
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
高井 康弘 大谷大学, 文学部, 教授 (00216607)
上田 元 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10241514)
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (20293938)
上羽 陽子 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 助教 (10510406)
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キーワード | 家畜利用 / 農民 / 環境史 / 資源利用 / 熱帯地域 |
研究概要 |
本年度は、アジア・アフリカの熱帯地域における農民の家畜利用に関して、バングラデシュ(池谷)、タイ(中井、増野)、ラオス(高井)、インド(篠田、上羽、天野、黒澤)、ネパール(渡辺)、エチオピア(佐藤)、ケニア(上田)、ボツワナ(池谷)などの豚、水牛、牛、ラクダなどの家畜種を対象にした現地調査を通して、家畜生産技術・飼育形態・畜産物の流通などの側面が総合的に把握された。これまで、本研究のような農民を対象にした家畜飼育・家畜流通に関する詳細な記述・分析があまりみられないこともあって、これらの調査結果を加えることで従来の農民像に対する新たな見方や、牧畜民とは異なる農民による家畜飼育の特徴を提示した。同時に、家畜の飼育形態の歴史的変遷に注目することから、遊牧、放牧、舎飼いなどに至る形態の違いがどのような生態的経済的要因が関与して生まれてきたのか、その動態モデルの構築が試みられた。 具体的には、養豚を事例にしてみると、インドやバングラデシュにおいて商業的養豚と伝統的養豚とが混在しており、両者のあいだに飼育形態や流通システムの違いが認められた。また、伝統的養豚の場合、コブタを購入して飼育する場合とブタの繁殖を管理してコブタを生産する場合とに分かれており、それらの違いは家畜文化のあり方の違いに起因していることが明らかになった。さらに、舎飼いか放牧かの形態の違いには、放牧可能な餌資源が得られるかの有無、人工的な餌や管理施設にかかる費用の問題が深く関与していた。
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