研究課題
本年度は、アジア・アフリカの主として湿潤熱帯地域における農民の家畜利用に関して、バングラデシュ(池谷)、タイ(中井、増野)、ラオス(高井、中井)、インド(篠田、中里)、パキスタン(中里)、ネパール(渡辺)、ブータン(ファルーク教授)、エチオピア(佐藤)、ケニア(上田)、ボツワナ(池谷)などの豚、水牛、牛、ラクダ、鶏などの家畜種を対象にした現地調査を通して、家畜生産技術・飼育形態・畜産物の流通などの側面が総合的に把握された。これまで、本研究のような農民を対象にした家畜飼育・家畜流通に関する詳細な記述・分析があまりみられないこともあって、これらの調査結果を加えることで従来の農民像に対する新たな見方や、農民による家畜飼育の特徴を提示した。その一方で、農民が労働者にはなるが、企業家が牧畜の担い手になる経営形態をインドやバングラデシュの地域では無視できないことがわかってきた。同時に、家畜の飼育形態の歴史的変遷に注目することから、遊牧、放牧、舎飼いなどに至る形態の違いがいつからどのような契機で始まったものであるのか、歴史資料が乏しいために十分ではないが、ある程度の仮説を提示することができた。具体的には、養豚を事例にしてみると、インドやバングラデシュにおいて商業的養豚と伝統的養豚とが混在しており、インド北東部においてもバングラデシュで見いだされた豚の遊牧が行われていた。同時に、30年前には在来豚のみられた地域が外来豚に変わっていることも確認できた。このように、家畜飼育を把握する際には環境史的な視点を無視することができない点が明らかになった。今後、さらなる過去にさかのぼることができるのか、歴史資料の発掘に努めていきたい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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