平成24年度は事前調査を1回、実地調査を4回、そして4年間の調査研究の成果公開のためのシンポジウムを1回実施した。 事前調査は2012年5月12日~17日にロシア連邦ウラジオストーク市においてこの年度の調査についてロシア側の研究協力者と打ち合わせを行い、さらにウスリースク市の近郊において前年度の考古学調査に関する補足調査を行った。 本調査では、まず8月1日~11日にかけて研究代表者がロシア連邦トゥヴァ共和国東部山岳地帯でトナカイ飼育狩猟民の現状調査を行った。次いで9月9日から19日には、研究代表者と連携研究者の他、ロシアと中国の研究協力者が加わって、日中ロ3ヶ国の研究者による中国黒竜江省の赫哲族(ロシアのナーナイと同じ民族)の生業と居住形態に関する合同調査を行った。引き続き、1人の連携研究者が9月19日~21日に中国内モンゴル自治区でエヴェンキの食文化の調査実施し、さらに11月29日~12月9日の日程で、研究代表者と連携研究者がロシア連邦ハバロフスク地方のコンドン村で、ナーナイの狩猟と氷下漁に関する実地調査を行った。これにより、本調査研究プロジェクトによる実地調査の予定はすべて完了した。 3月には4日~8日の日程で、ロシア連邦立極東大学とロシア科学アカデミー極東支部極東諸民族歴史学考古学民族学研究所(両者ともウラジオストーク)で研究成果を公開するための国際シンポジウム「ロシア極東森林地域における文化の環境適応」を実施した。そこにはこの科研の調査プロジェクトに参加した日ロ両国の研究者全員が集まり、研究報告と討論を行った。
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