研究課題
フランスについては、(1)「対人サービス」の制度的特徴、仕組み、そして運用を知るため、パリを中心に政策担当者、関連企業とアソシエーションに対して合同聞き取り調査、また、(2)移住家事・介護労働者の就労実態と地位の正規化について、とくにフィリピン人のケースを中心に労働組合に対して聞き取り調査、及び参与観察を行った。イタリアに関しては、ローマで移住家事労働者の労働協定の制度、移住家事・介護労働者受け入れに関する資料収集、ならびにフィリピン人女性移住者団体に対する聞き取りを行った。さらにドイツに関しては、(1)移住家事・介護労働の現状把握のため、職業団体に対する聞き取り調査、また(2)送り出し側として、ポーランドの社会政策省、及び自治体労働局、移住労働仲介業者に対する聞き取り調査を行った。上記調査の結果、(1)一部の過疎地域で需要がないわけではないものの、全般的に各国の移住家事・介護労働者が概ね都市部に集中する傾向にあること、(2)ドイツでは導入が成功しなかったサービス雇用小切手に基づく「対人サービス」の産業化が、フランスでは一定程度の成果を上げていること、またイタリアにおいても一部でその試験的導入がなされていて、ヨーロッパ・レベルでの「対人サービス」の普及に関する動きも一部にあること、(3)移住家事・介護労働者の増加は、EU域内外からの移民の「女性化」と並行して進んでいるが、各国で家事・育児・介護を担う移住労働者の出身国別セグメント化が起きていて、その地位が多様であること、などがわかった。ドイツに働くポーランド人家事・介護労働者が主としてポーランド南部地域を中心とすることも確認できた。今後は、仏独伊の家事・介護労働の労働規約の現状、その移民政策との関係、フランスにおける「対人サービス」の運用実態、また、各国におけるフィリピン人家事労働者の位置づけとその背景の比較などが課題である。
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