研究課題/領域番号 |
21252001
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
伊藤 るり 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (80184703)
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研究分担者 |
定松 文 恵泉女学園大学, 人間社会学部, 教授 (40282892)
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00401688)
園部 裕子 香川大学, 経済学部, 准教授 (20452667)
中力 えり 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (50386520)
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キーワード | 移民 / ジェンダー / ケア / 労働 / ヨーロッパ |
研究概要 |
フランスに関しては、高齢者介護施設(EHPAD)における移住労働者の就労状況を把握するため、パリ地域の施設5ヵ所、ならびにピレネー・アトランティック県(以下P-At県)で1ヵ所を訪問した。その結果、(1)パリ地域では介護職員の多くが移民出自、あるいは海外県・領土出身の女性であるのに対して、P-At県ではこうした現象がごく例外的であること、(2)パリ地域では施設介護と在宅介護の問題が分断され、労働市場も分岐する傾向にあるのに対して、P-At県では高齢化が著しく地域における入所待機者数も多いため、施設介護と在宅介護(対人サービスを含む)が連動し、介護労働者は両セクターを循環する傾向にある、といった諸点が明らかになった。平成22年度の調査では、このように限定的ではあるものの、地方での状況を捉えることで、大都市圏に集中する移住家事・介護労働者の位置づけをよりいっそう明確に捉えることができた。このほか、パリで在宅介護員/生活補助員として就労する移住家事・介護労働者の資格、研修機会、労働協約等について関係団体・機関への聞き取りを進め、制度とその実態についての認識を深めることができた。 次に、ドイツで働くポーランド人移住家事労働者に関しては、ポーランド現地調査によってポーランドの派遣会社が雇用する場合と移住労働者が個人雇用事業主として就労する場合の2つの回路があることが把握できた。また、ローマとパリでは、平成21年度に引き続きフィリピン人家事労働者の就労状況についてのインタビューを進めた。 このほか、日本社会学会第83回大会(11月)で「フランスにおける『対人サービス(SAP)』と移民女性」と題したパネルを組織し、4本の報告を行うとともに、3月には、国際シンポジウム「ケア、国際移民、ジェンダー-日仏対話」(於日仏会館)を東北大学GCOE等との共催で開き、フランス側研究協力者との研究交流を行うことができた。
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