研究課題/領域番号 |
21252004
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
河村 哲二 法政大学, 経済学部, 教授 (20147010)
|
研究分担者 |
半田 正樹 東北学院大学, 経済学部, 教授 (80125640)
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
馬場 敏幸 法政大学, 経済学部, 教授 (00359663)
李 捷生 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 教授 (50255634)
王 東明 大阪市立大学, 大学院・創造都市研究科, 准教授 (30368394)
|
キーワード | 経済事情 / 経済政策 / 中国(国際研究者交流)(国際情報交換) / グローバル金融危機 / グローバリゼーション / グローバル成長連関 / アメリカ合衆国 / 新興経済 |
研究概要 |
本研究は、金融危機によるグローバル経済と新興経済の転換を、政策、金融・実体経済の両面から解明し、わが国の中・長期展望と指針を得ることを目指す。本年度は、研究計画に従い中国を重点的に調査研究した。 1.主な調査研究活動・成果公表 (1)中国現地調査(8月21日-9月22日)内陸部(西安・成都等)と沿海部の華南珠江デルタ(広州~深〓~珠海)・長江デルタ(上海、蘇州、杭州、寧波等)、北京を対象に、発展和改革委員会、各地高新技術開発区・市当局、社会科学院、日系・欧米系・現地企業等の聴き取り調査と実地視察による総合調査を実施した。 (2)国内研究活動と成果の公開分担研究の遂行と並んで、全体研究会(計5回、3月4-6日合宿研究会含む)を通じ成果の整理・共有を進めた。代表・分担者の論文・学会発表・図書等で研究成果を公表するとともに、日本国際貿易促進協会による代表者の招待講演(11月25日)にて発表し、Web公開した。 2.主な研究成果と知見 (1)中国の成長モデル転換EU危機が加重した「グローバル成長連関」の大幅後退のインパクトのなか、少子高齢化・人口減の中長期趨勢や深刻化する社会経済問題への対処のため、中国は、従来の「改革開放」・外資依存型輸出指向工業化成長モデルから内需連関型成長への転換という中・長期的課題に直面している。 (2)内需連関の構築戦略とジレンマ内需連関構築戦略として、全土21城市地区を指定した「グローバル・シティ」 都市機能とその相互連関の重層的発展を経済高度化・内需連関構築の軸とする戦略が、第12次五ヵ年計画(2011-15年)で基本が打ち出され、高新技術開発区を起爆剤に、内陸・中央部への工業集積のシフトや高速鉄道・高速道路網等のインフラ建設が推進されているが、その成否は今後にかかる。そのため、東南アジア地域や他の新興経済との連携強化の動きも並行しているが、賃金高騰など内需型転換とジレンマにある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「金融危機によるグローバル経済と新興経済の転換を、政策、金融・実体経済の両面から解明し、わが国の中・長期展望と指針を得る」という研究目的に照らし、アメリカ(一部メキシコ、韓国)、東南アジア・インド、中国と総合的現地実態調査を実現し、平成24年度は中南米調査(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ等)を予定しており、研究計画に即した調査研究活動と成果の総括は順調に進行し、大きな研究成果が上がっている。ただ新たな要素としてEU危機の深刻化が加わったため、その面からの解明が必要となり、対応を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進は、現地実態調査と文献・資料分析を総合する共同研究という従来の方法で基本的に問題なく、順調に成果を上げていると評価しているが、本研究課題の解明の中心課題としている「グローバル金融危機とその影響」という問題に関し、当初計画段階では明確になっていなかったEU「ソブリン危機」の深刻化という問題が加わってきており、平成23年度の中国調査からその問題も織り込んで調査研究を進めている。平成24年度(最終年度)に現地実態調査予定の中南米は、アメリカと並んでヨーロッパとの関係が深いため、とくにその点からの解明も重視する。同時に、アメリカ、東南アジア・インド,その他についても重点的に追加研究し、グローバル危機の「第二幕」の問題として最終年度の本研究課題の総合的総括に織り込む。
|