研究課題
日本における比較教育学は、地域研究型、開発研究型、制度研究型等、異なるアプローチによる研究伝統がそれぞれ独自に発展してきているが、相互に補完できる点や、実際には非常に類似した調査をしている者も多い。そこで本応募調査では、既存研究をマッピング、カテゴリー化したうえで、両アプローチの長所、短所を踏まえて、開発研究者と地域研究者がチームでフィールドワークを行い、各国でのマクロ-ミクロ分析の組み合わせと国別事例の横断的分析により、手法の展開と教育課題への対応を試みてきた。本研究では、多くの途上国で同時に起きている政策変更が、教育行政の末端であり、受益者である村の教育ニーズや実態とどのように整合、不整合を起こしているかについて、「教育開発研究」で主に行なわれる政策や学校サイドの視点と、学校を社会から切り離さず、社会のダイナミズムの中に位置づけて理解しようとする「地域研究」的視点を組み合わせて分析している。4年目にあたる平成24年度は、比較教育学における既存研究のマッピング及び、様々な手法やディシプリンのバックグラウンドを持つ研究者による、比較教育学の多面的な分析書の出版に向け、最終調整を行った。この本は、「比較教育学の地平を拓く:多様な学問観と知の共働」というタイトルで東信堂から平成25年2月に刊行された。また、開発研究者と地域研究者による共同フィールドワークは、モルディブ国で4回にわたって行われ、その成果は平成25年2月に、モルディブ国における成果報告会で発表された。この報告会は、教育省主催で行われ、冒頭には教育大臣が挨拶し、テレビや新聞で報道されるなど、当該国でも強い関心を持って受け止められた。ここで発表した内容に基づき、関係した5名の研究者がそれぞれ学術誌(英・和文)に論文を投稿するほか、25年度に繰り越した予算で和文での報告書も作成予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Compare: Journal of Comparative Education
巻: 42巻 6号 ページ: 100-111
EFA Global Monitoring Report. UNESCO.
巻: Country Paper on Japan. ページ: 100-111
ジャウィ文字でつながる東南アジア・イスラーム世界-ジャウィ定期刊行物創刊号巻頭言-(NIHU Program Islamic Area Studies SIAS Working Paper Series 12)
巻: 12 ページ: 61-83
Comparative Study of Southease Asian Kitabs: Papers of the Workshop held at Sophia University, Tokyo, Japan on October 23, 2011 (NIHU Program Islamic Area Studies SIAS Working Paper Series 14)
巻: 14 ページ: 47-70
ジェンダー史学会編『ジェンダー史学』
巻: 第8号 ページ: 97-104