研究課題/領域番号 |
21253003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福井 康雄 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30135298)
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研究分担者 |
大西 利和 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (30314058)
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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キーワード | 電波天文学 / 星間分子雲 / 分子雲ジェット / 分子雲形成 |
研究概要 |
なんてんによる12CO(1-0)輝線の銀河面分子雲地図から、ジェット状分子雲探査を行い、すでに発表済みのSS433やWesterlund 2を含め、約10個の分子雲ジェットを同定した。中でも、X線および電波連続波で高密度天体からのジェットが確認されているX線連星XTE J1550-564に対し、分子雲地図を詳細に解析したところ、ジェットの軸上に分子雲群を発見した。分子雲ジェットの詳細な分布や性質について理解を深めるため、これらの分子雲ジェット候補天体についてNANTEN2望遠鏡による12CO(J=2-1)、13CO(J=2-1)輝線を用いた高分解能観測を行った。今年度観測を遂行した天体は、対応する高密度天体が存在し、かつ高密度天体からのジェットの軸上に分子雲の存在が確認されているXTE J1550-564とSS433(Yamamoto et al.2008)である。その結果、分子雲には10パーセクスケールの構造が存在することがわかり、ヘリカル構造がより明らかに示された。両者とも、12CO(J=2-1)輝線と12CO(J=1-0)輝線の強度比は、銀河系内の星形成領域の値と同程度であった。このことは分子雲が高温もしくは高密度になっていることを示している。しかし、赤外線点源等の加熱源となりうる天体が分子雲の周囲には存在せず、高エネルギージェットからの衝撃波による加熱・圧縮が現在起こっており、それによって分子雲形成が誘発された可能性を示唆している。本年度は、ワークショップやコロキウムを開催し、これらの観測成果の紹介を行うとともに、ジェット形成の数値計算の結果などの報告をうけ、議論を進めた。
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