研究課題/領域番号 |
21253003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福井 康雄 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30135298)
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研究分担者 |
大西 利和 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (30314058)
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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キーワード | 電波天文学 / 星間分子雲 / 分子雲ジェット / 分子雲形成 |
研究概要 |
今年度はWesterlund2領域のアークとジェット、および銀河系中心部の二重らせん星雲に集中して観測研究を推進した。また磁気流体力学数値計算(研究協力者による)を推進して相対論的ジェットによる分子雲形成の数値実験を遂行した。 (1)Westerlund2領域において発見したアークとジェットについて、CO分子のJ=2-1およびJ=1-0輝線の強度比を解析して、温度と密度を導き、従来よりも3倍以上高い角度分解能で分子雲の分布を明らかにした。その結果、アークとジェットともに、10Kないし20Kの比較的低い温度を示すことが明らかになった。このことは、分子雲形成に伴う衝撃波の通過が約100万年以前に起き、冷却したことと矛盾がない。またアーク方向にあらたにジェット状の分子雲の存在を確認し、ジェットが中心天体の両側に存在することを見いだした。さらに、数値計算の結果との比較から、アークの成因として、超新星爆発ではなく、ジェットによって駆動されたバウショックである可能性を示した。 (2)銀河系中心部の二重らせん星雲に付随する垂直に約400光年伸びた柱状の分子雲を発見した。その根元は銀河系中心核の大質量ブラックホールを取り囲むガス円盤に連なっており、回転円盤によって駆動された磁気流体力学的現象によって、分子雲の分布と運動が説明できる可能性を指摘した。これは我が銀河系の中心部にも、ジェットを放出した活動的な時期があることを初めて示すものである。 (3)磁気流体力学的な数値計算によって、相対論的ジェットによるジェット状分子雲の形成課程を明らかにした。ジェットの先端にバウショック状の成分が形成されることを明らかにし、Westerlund2のアークの形成に適用できることを論じた。
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