研究課題
本研究によりロシア極東地域で運用しているGPS観測網による2011年東北地方太平洋沖地震後のデータ解析を実施した結果,特に沿海州地域において明瞭な余効変動が検出された.ウラジオストクでの東西変位は3cmであり,これは地震時変動の80%に相当する量である.この余効変動は,上部マントルの粘性緩和による可能性が考えられたため,複数の1次元粘性構造を仮定し,2011年東北地方太平洋沖地震による粘性緩和がGPS観測点に及ぼす変位を計算した.その結果,沿海州で観測されている変位量は上部マントルの粘性率が10の18乗Pasよりも小さい場合に説明出来ることが明らかになった.この値は,東北地方やアラスカ等での推定値より小さなものである.GPSで観測された余効変位にはプレート境界面での余効すべりの影響も考えられるためデータを蓄積して検討を行うことが必要である.また,粘性率が一桁違う場合では,GPS観測点で変位パターンが大きく異なることも明らかになった.これは,今後観測データを10年程度蓄積することにより,日本列島を含めた背弧島弧海溝系における上部マントルの広域粘弾性構造を明らかにすることが出来る可能性を示す結果である.アムールプレート運動を検討するにあたり,過去に日本周辺で発生した巨大地震による地震時及び粘性緩和による変位パターンについて複数の粘性率を仮定して算出した.この結果,沿海州では年間数mmの変位となる可能性が示され,アムールプレート運動の推定には千島海溝・日本海溝・南海トラフでの巨大地震系列の影響を評価することが必要であることが明らかにされた.本研究によりロシア極東地域で運用している広帯域地震観測網のデータを用いた地震波干渉法を用いた構造推定を進めた.独立した12カ月分の連続波形を重ね合わせて干渉波形を作成するとともに群速度の分散曲線を求めた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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