研究概要 |
1)Coral Triangle領域を対象とした高精度物理流動・水循環モデルを開発するべく,太平洋-インド洋広域海水流動モデルをベースに,多島海域に対応した高分解能海水流動モデルをネスティングする形の流動モデルを開発した.モデシレ検証データとして,インドネシア・フローレス海域において漂流ブイ放流実験を行いその軌跡データを得た.さらに,同モデルに連結するための陸水動態モデルおよび地域気象モデルの開発検討を主としてフィリピンを対象に行った.2)土壌流出ならびに栄養塩や有機物負荷量に関する地域スケール流出モデルの基本形を開発し,上記の物理流動・水循環モデルに組み込むための検討を行った.また,それらの陸源負荷を入力条件とする形の,沿岸域での炭酸系パラメータを含む物質循環・低次生態系モデルの基本形を開発した.3)上記の炭酸系を含む物質循環・低次生態系沿岸海洋モデルに基づいてCoral Triangle海域の炭酸系動態評価を行うべく,モデル検証のための現地データを沖縄石垣島での現地調査によって得た.5)生物過程から見たCoral Triangle海域における生物多様性hot spotの維持機構の検討に関して,フィリピン6地点,インドネシア1地,フレンチポリネシア2地点から造礁サンゴ4種,ヒトデ類5種ナマコ9種類,そして沖縄石垣島・西表島等で海草5種を遺伝子解析用に採集した.アオヒトデとゴマフヒトデに関しては,Coral Triangle海域の遺伝構造は非常に弱く遺伝的にほぼ均一であることが明らかになった.さらに,ミトコンドリア16S rRNAを用いてシカクナマコを解析した結果,琉球列島内において強い遺伝構造が見られ,黒潮を通じたconnectivityが限られていることがわかった.また,海草の集団遺伝学的構造の解析に関して,リュウキュウアマモから10個のSSRマーカーの開発を行った.
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