研究課題/領域番号 |
21254005
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
徳永 朋祥 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (70237072)
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研究分担者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
福士 謙介 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 准教授 (30282114)
知花 武佳 東京大学, 大学院・院工学系研究科, 講師 (10372400)
原口 強 大阪市立大学, 理学系研究科, 准教授 (70372852)
多部田 茂 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (40262406)
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キーワード | 水資源 / 流域圏 / 水循環 / 流域管理 / 環境質定量化・予測 |
研究概要 |
安全かつ安定な水供給の実現は、地域に生活する人たちの生命や健康を維持する上で本質的な問題である。特に、アジアモンスーン気候においては、乾期・雨期が明瞭に分けられるため、年間を通じて安全な水資源を安定に確保するためには、地下水を含めた流域水管理を実践することが危急の課題である。本研究を実施するアンコール遺跡及びその周辺地域では、遺跡の保全も重要な視点であり、観光都市としての発展、農業活動の継続、遺跡の保全という課題を達成するための環境調和型水資源管理手法を構築し、実践することが必要とされる。以上の背景に基づき、本年度は4月及び9月に、対象地域の水環境の現状を把握することを目的とした概査を実施した。ここでは、地下水に関連する調査として、CFCsおよびSF_6を用いた地下水流動系の概要把握、乾期及び雨期における地下水面形状の把握、2か所の井戸における乾期から雨期にかけての井戸水位変動観測、を実施した。その結果、乾期・雨期ともに、不圧帯水層中の地下水は河川に向かって流出する傾向があること、乾期と雨期において井戸水位が数m程度変動すること、が明らかとなった。一方、地下水中のSF_6濃度は東部で高く、西部・南部に向かって低くなる傾向が示された。また、微動アレー探査による地盤構造探査を行い、地下のS波速度構造を明らかにすることを試みた。この結果からは、帯水層が地表から20~30m程度までに分布していることが想定された。さらに、水圏中の微生物および栄養塩濃度についての概査を実施した。その結果、乾期においては、河川水・湖水ともに人間活動の影響と考えられる微生物が水圏に存在すること、また、一部の井戸水中に、微生物が存在することが示された。これらの結果は未だ予察的なものであり、さらなるデータの蓄積が必要であると考えている。今後、数年間の研究を通して、我々が目標としている成果を達成したいと考えている。
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