研究分担者 |
前田 高尚 産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (10357981)
小杉 緑子 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教 (90293919)
高梨 聡 森林総合研究所, 気象環境研究領域, 研究員 (90423011)
田中 延亮 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10323479)
熊谷 朝臣 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50304770)
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研究概要 |
1.平成21年度に試作した「樹冠定点映像記録装置」試作機の野外試運転を開始し,長期運転に必要な改良を行うとともに,並行して装置の量産を開始した。 2.フラックスの変動解析のために,単純な時間平均でなく,晴天日(最大日射量の多寡で分類),曇天日,降雨日で分けてアンサンブル平均をとる手法を検討した。 3.半島マレーシア熱帯雨林およびタイ北部熱帯落葉季節林,常緑季節林等においてタワーフラックス観測を行うとともに,東南アジア8サイトにおける比較解析を行うためのデータベース構築作業を行った。 4.不均一な気孔開閉を含む気孔開閉による蒸散・光合成の制御の仕組みを明らかにし,炭素・酸素安定同位体比を利用した新たなガス交換特性の解析を行うために,気孔開閉の不均一性が炭素安定同位体分別に与える影響について解析した。モデルを利用した解析の結果,気孔開閉の不均一性はガス交換特性を大きく変化させるが,同位体分別はおおむねそのガス交換特性を反映した物となることが示された。 5.タイ北部にある常緑性の熱帯季節林と落葉性の熱帯季節林において,顕熱・潜熱フラックスとCO_2フラックスのデータセットを整備した。ここで整備したデータセットは,東南アジアの多様な森林サイト間のフラックスの諸特性の横断的解析に貢献する。 6.カンボジア国の低地常緑林を対象に,decoupling coefficient(Ω)の特性を解析した。Ωの日平均値は,主に0.3以下であり,年平均値は0.13であった。既往報告例に比べると小さかった。 7.メカニスティックな水・炭素循環モデルに確率モデルを援用してマレーシア・ランビル国立公園における樹木の水利用戦略を考察した。その結果,従来乾燥地にはびこると考えられるAnisohydric植物が強湿潤条件でもはびこる可能性があることが示された。
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