研究課題
平成21年8月7日から21日にかけてモンゴルに渡航し、フブスグルーバイカルーエニセイ流域の源流域に位置するカルウス川(1地点)、フブスグル湖(13地点)、エギイン川(1地点)の物理・化学・生物総合観測を行った。フブスグル湖では主湖盆、副湖盆それぞれの最深地点(水深220m、160m)を含むすべての地点で鉛直方向での観測を実施した。表層で11℃の値にあった水温は、水深の増加とともに急激に低下し、水深40m以深では4℃弱でほぼ一定で、湖は水温を基準として水深40mを境に、表水層と深水層に分けられた。植物プランクトン現存量の指標となるクロロフィルa濃度の鉛直分布はどの地点でも水深60m近傍に極大値を示し、亜表層にその極大値を持つ琵琶湖のような湖とは大きく異なる特徴を示した。このためもあってか、表水層と深水層の間にpHの差は見られず、表層での生物生産が小さいことが明らかになった。電気伝導度と主要元素の鉛直分布はほぼ均一であった。電気伝導度の値は23~27mS/mの範囲にあり、琵琶湖の約1.8倍であった。これはフブスグル湖周辺域が炭酸カルシウム地質帯にあり、そこからの流入水による影響と推測された。このためにアルカリ度、カルシウム濃度がともに高い値を示した。一方で、ケイ素濃度は水深とともに増加した。しかしながらリン濃度にはこのような傾向は見られず、濃度そのものの値も10~30nmol/L(0.3~0.9μg/L)と低く、フブスグル湖は貧栄養の状態にあると判定された。
すべて 2010 2009
すべて 学会発表 (3件)