研究課題
平成22年7月9日から28日にかけてロシアに渡航し、フブスグル-バイカル-エニセイ流域の上中流域に位置するロシア領内セレンガ川(14地点)、バイカル湖(3地点)の物理・化学・生物総合観測を行った。また、8月6日から20日にかけてモンゴルに渡航し、エギン川(7地点)、モンゴル領内セレンガ川(6地点)で同様の調査を行った。その結果、次のことが明らかになった。フブスグル湖南部で水中に析出した炭酸カルシウムはエギン川上流で標高が低くなることで溶解した。この溶解により、エギン川上流では水の流下に従い硬度が上昇した。その後、エギン川合流前のセレンガ川とオルホン川の希釈効果を受けて硬度が減少した。また、オルホン川と混合する際、懸濁態元素の組成が大きく変化したオルホン川が混合して以降、水中の懸濁態元素組成はバイカル湖に至るまで、ほとんど変わらなかった。つまりオルホン川がフブスグル湖水を含んだセレンガ川に大きな影響を与えていることを示していた。ロシア国内セレンガ川では、各支流河川の中でチコイ川の影響を強く受けて、硬水が稀釈されていた。石灰岩起源の河川水に多く合まれる溶存態アルカリニテイー、Ba、Ca、Mgは水の流下に伴い減少し、特にエギン川下流の河口域ではその減少傾向は大きかった。またその地点では懸濁態元素の中で最も高い割合を占めていたCaがアルミノケイ酸塩を起源とするAlより低くなった。このことは、エギン川河口域において石灰岩地質より火成岩地質の寄与が強まったことを示していた。
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Bull.Yamagata Univ., Nat.Sci.
巻: 17 ページ: 7-17