研究課題
平成24年8月6日から8月29日にかけてロシアに渡航し、フブスグル-バイカル-エニセイ流域の中下流域に位置するアンガラ川-ウストイリムス湖(クブラーツク/ウストイリムスク間、10地点)で物理・化学・生物総合観測を行った。また、これと並行してバイカル湖、南・中央湖盆(15地点)も同様に調査した。同湖では、鉛直断面観測も行った。これらの結果、昨年のブラーツク湖調査との比較により、次のことが明らかになった。ブラーツク湖では、上流から下流にかけて水が流下するに伴い主要イオンの濃度上昇が見られた。また、ウストイリムスク湖では、特にNaとClを多く含んだ水が支流から流入していることが明らかになった。これは人為汚染によるものと推測された。ブラーツク湖、ウストイリムスク湖のいずれにおいても、上流河川からダム湖内に向かって水が流下するにつれ栄養塩の濃度が急激に低下した。湖への流入河川の河口域で生物生産が急増して、水からの栄養塩の除去が効果的に行われていることが推察された。この現象は特にSiにおいて顕著であって、本研究の主要課題に掲げた超長大水系に点在する自然・人工湖などの中途停滞水域の出現によるシリカ欠損の発生と水質・生物動態への影響を解析するに、これら2つの湖が極めて鋭敏な試験水域であることを示していた。バイカル湖では夏期生物生産の増大により表層水中での溶存栄養塩の涸渇、粒子態栄養塩・生物関連元素の濃集が例年と同じく観測された。しかしながら、1999年に明瞭に観測されたBaなどの生物関連元素溶存態濃度の表層での低下は本年度も起こっていなかった。優占プランクトン種が影響しているものと考えられる。このことについては、ミカヅキモの繁殖によってBa濃度の低下が起こる琵琶湖との比較解析を今後試みる予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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