研究課題
東南アジア地域の熱帯雨林の林冠にみられる節足動物群集の多様性と群集構造を詳細に解明するため、今年度は以下の研究計画を実施した。まず、ボルネオ島マレーシア国サラワク州のランビル国立公園に展開する熱帯低地フタバガキ混交林において、林冠部での節足動物のサンプリング調査をのべ年7回実施した。そのうち1回は、目視による任意採集とすくい網法によるランダムサンプリングによるもので、クモ類群集を主な対象とした。別の3回においては、林冠を構成する約150本の高木の樹冠部において、すくい網法によるランダムサンプリングをおこなった。また、約100本の樹木を対象に、樹冠部において飛翔妨害トラップ(Flight intercept trap)を設置して、飛行性の昆虫類の採集をおこなった。また、約50本の高木を対象に、着生植物とそれと共生するアリ類、および高木に茎を伸ばすつる植物の空間分布を調べた。さらに、開花・結実している高木の数十本を対象に、その送粉者や果実・種子食者を特定するために、訪花昆虫や果実・種子に穿孔する昆虫類の採集をおこなった。また、林冠部におけるアリ類の空間分布を目視による観察によって確定させた。以上のサンプリング調査によって、林冠部における節足動物群集の一端が明らかになった。特に、アリ類の分布が他の節足動物の量と種構成を大きく変える可能性があること、さらに林冠における着生植物とつる植物、植食者による葉への食害量などに大きな影響を与えていることが実証的に示された。
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