研究課題/領域番号 |
21255007
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (00263129)
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研究分担者 |
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
広岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 教授 (30144348)
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キーワード | 土地利用 / 河川 / 環境 / 物質循環 / リモートセンシング / ハウス / 耕畜連携 |
研究概要 |
中国西部内陸部における集約的農業における環境負荷の現状を評価するために、負荷源としてハウスにおける多毛作の高い作付け強度および肥料・有機物の多投入などを、そして負荷物質として窒素、燐酸を取り上げ、昆明市晋宇県内の集約的農業が実施されている3河川流域を対象に衛星画像の解析と現地調査を実施し、以下の成果を得た。 1.流路系統図に基づく土地利用図の作成 種々の衛星画像を用いて、土地利用の変化の全体像をとらえ、グラウンドトゥルースと行政村での聞き取りを行い、土地利用解析の精度を高めた。聞き取り調査では不足する行政村単位での農業生産基礎データを収集した。 2.負荷物質収支の現状評価 調査対象河川の上流・中流に設けた調査圃場(露地畑、ハウス)において、農作業の内容を聞き取り、作物、土壌、灌漑水、地下水、河川水を定期的に採取・分析し、その季節変化をもとに負荷物質の収支を求めた。 3.耕畜間における物質循環と負荷物質収支の現状評価 酪農家を対象とした糞尿と野菜残さ飼料を介した物質収支を解明するとともに、乳牛における硝酸態窒素負荷に関する調査を実施した。その結果、乳牛における硝酸塩中毒をおかさない作物残渣の限界給与量が明らかとなった。 5.定点調査圃場における負荷物質収支の評価 定点調査圃場に設置したビニルハウスと隣接した露地圃場において、灌漑水を含む投入量が、物質循環と生産性および負荷物質収支に及ぼす影響を評価するために、担当農家が、農作物の収穫と冷凍貯蔵、および農作業日誌(耕起、播種、移植、施肥、灌漑、農薬散布、収穫などの作業内容と作業時間を圃場別に日々記載した日記)の記帳を行った。作物、灌漑水、地下水、河川水の分析から、灌漑水からの負荷を含めた負荷物質の収支を求めた。また、定点圃場での水利用効率を明らかにすることで、調査圃場での灌漑水量の推定が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国西部内陸部における集約的農業における環境負荷の現状を評価するために不可欠な耕畜間における多様な基礎データを収集・解析を実施した。さらに、乳牛における硝酸塩中毒をおかさない作物残渣の限界給与量、および農家圃場での灌漑水量を推定するための水利用効率を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに得られた成果を基に、河川流域における負荷収支モデルを作成する。そして、投入量の適正化が負荷物質収支バランスおよび生産性に及ぼす影響の評価試験を実施する。最終的には、物質収支モデルを汎用化し、地域農業規模での汚染物質収支バランスの改善による富栄養化対策の有効性と問題点を明らかにする。
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