研究課題/領域番号 |
21255011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荒木 茂 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00158734)
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研究分担者 |
舟川 晋也 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (20244577)
木村 亮 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30177927)
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キーワード | アフリカ農業開発 / キャッサバ小農生産 / 土のう畑地造成 / 土壌養分動態 / 貧困削減 |
研究概要 |
4月下旬から5月上旬にかけて、荒木と研究協力者浅野、パパ・サリオウは、平成21年度にAndom村に設置したキャッサバ圃場試験のキャッサバ収量調査と、試験継続のための植え付けを行なった(計画1)。その結果、改良品種導入の効果が認められたが、平均収量が在来種で5.81t/ha、改良品種で13.3t/haと、キャッサバの平均的収量に比べても低い値であり、それは当地域に分布する貧栄養オキシソルのためと考えられた。また、収穫量の多いサイトほど、跡地土壌のpHが低下している傾向がみられ、キャッサバ生産が土壌の酸性化を促進していることが問題点として明らかになった。この結果は、10月末にルワンダ・キガリで開催されたCIALCA国際ワークショップで発表された。また新たな4品種について、キャッサバ圃場試験を開始し、施肥試験区、マメ科休閑草種(Pueraria)区の設置も合わせて行った。土壌流亡試験モニタリングを、現地研究者(IITA)と共同して継続し、1週間ごとの流水量、土壌流亡量を測定した(計画2)。研究協力者荒居は研究分担者木村の指導のもと、5月17日から6月10日の間、Andom村に滞在し、土のう垣の耐久性向上のための技術改良(石灰混入効果)試験と、簡易キャッサバ加工施設のためのレンガ製造技術の普及実践を行なった(計画3)。Andom村に設置した土壌・気象観測装置による観測を現地研究者と共同しておこない、平成21年度の結果と合わせて研究協力者柴田誠は、修士論文作成と学会発表を行なった。その結果、サバンナ耕地においては、森林耕地と比べて土壌表層からの硝酸態窒素の生成と流亡が少なく、もとの植生によって土壌養分動態が大きく異なっていることが明らかとなった。研究協力者浅野は、9月から12月にかけて、Andom村において長期滞在調査を行ない、人口、家族構成に関する各戸調査、女性の労働と組合活動の実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、キャッサバ生産-加工-販売プロセスを確立するために必要な諸条件を明らかにすることを目的としているが、これまで土壌条件、キャッサバ改良品種効果、女性の農業労働と組合組織の概要が明らかにされたので、おおむね順調に進展していると評価される。キャッサバ加工器械の導入により女性労働がどのように変化するかに関する追跡調査(計画5)は、来年度に行なわれる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、キャッサバ生産(土壌養分動態、土壌侵食防止効果、改良品種導入効果)-加工(キャッサバ加工器械)-販売システムの各段階を定量的に評価し、結合させることによって、村においてどのような規模のキャッサバ加工販売が可能であるかを示し、それを簡易キャッサバ加工施設のための基礎情報として提供する。また、キャッサバの加工販売は、農業生産物流通の面でも国際的な注目を浴びており、年度末にはIITAカメルーンにおいて国際研究集会を開催し、内外の関係研究者の招へいを行なう予定である。
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