研究課題
(1)2010年度代表者が主宰する日中韓露4か国共同研究体制により、ハイボリュームエアーサンプラーで毎季節2週間ずつ一斉連続捕集した浮遊粒子状物質のうち、わが国4都市(金沢、東京、札幌、北九州)及び中国4都市(北京、瀋陽、上海、福州)の試料について、PAH、NPAH濃度を超高感度HPLC-蛍光/化学発光検出法により分析した。昨年度の金沢に続いて本年度に測定が終了したわが国の残り3都市も加えて4都市の過去7年間(2004~2010年度)の結果に基づいて、汚染の推移を解析した。(2)7年間を通して、都市によって濃度の推移は一様では無かったが、常にPAH濃度はNPAH濃度より高く、冬高夏低の季節変動を呈していた。(3)大気中PAHの一つと,してbenzo[a]pyrene濃度を見ると、夏季は1/1.8、冬季は1/3.4に減少した。一方、NPAHの一つとして6-nitrobenzo[a]pyrene濃度を見ると、夏季は1/2.3、冬季は1/3.0に減少していた。金沢で見られたPAH、NPAHの減少傾向は日本全体で見られることがわかった。(4)発見した発生源マーカ[NPAH]/[PAH]から主要排出源を見ると、この値は顕著に減少しており、以前は自動車が大気中PAH、NPAHの主要な発生源とされてきたが、排ガス規制の強化及び自動車の性能の向上によって、その寄与が著しく減少したと考えられた。(5)現在、分析が終了していない中国、韓国及びロシアの都市の試料についてPAH、NPAH分析を進めるとともに、大気中PAH、NPAH濃度の推移と変化の要因を解析し、最近の東アジアの大気汚染の変化を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
昨年度までに2010年度に捕集したわが国4都市の大気粉じん試料のPAH、NPAH分析を終了し、過去12年間の推移と変化の要因を考察出来た。現在、中国、韓国、ロシアの大気粉じん試料の分析も順調に進んでいる。
中国、韓国、ロシアの大気粉じん試料のPAH、NPAH分析が終了すれば、我が国の結果と併せて過去10年間の東アジアのPAH、NPAHの推移が初めて明らかになる。この結果をシュミレーションモデル式に導入することにより、東アジアにおけるPAH、NPAHの動態モデルが初めて得られる。
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