研究課題
超微量ニトロ多環芳香族炭化水素(NPAH)の大気内動態を追跡する1次生成NPAHである1-nitropyrene(1-NP)及び2次生成NPAHである2-nitrofluoranthene(2-NFR)と2-nitropyrene(2-NP)を対象として、1-NP重水素体(1-NP-d9)を内標準として用いて定量分析する方法を、代表者らが既に開発したHPLC-化学発光検出法の前処理条件及びHPLC条件を改良することにより開発した。次に、中国大陸から日本海を越えて日本に長距離輸送されるNPAHの動態を明らかにするために、能登半島先端で通年捕集した大気粉塵試料に本法を適用した結果、1-NP、2-NFR、2-NPのいずれの大気中濃度も、既に報告した多環芳香族炭化水素(PAH)と同様の季節変動(冬高夏低)を呈し、相互に平行して推移していた。代表者らが発明した発生源マーカーである[NPAH]/[PAH]比を、Pyrene(Py)と1-NPを用いて計算した結果、NPAH濃度が高い冬季はいずれも石炭燃焼に近い値を示していた。さらに、PAH、NPAHの主要排出源を明らかにしている日本・金沢市(主要排出源は自動車)と中国・瀋陽市(主要排出源は石炭燃焼施設)において同時期に捕集した大気粉塵のPAH、NPAH組成を比較した結果、能登半島先端の組成は、近隣の金沢市より1000 km以上離れた瀋陽市に類似していた。また、能登半島先端で冬季に捕集した空気塊の後方流跡線も1~3日前は瀋陽市を含む中国東北地方を経由していた。以上のことから、一次生成1-NPだけでなく、2-NFR、2-NPもFRやPyが中国都市域で発生直後に大気中で二次生成し、その後偏西風によって日本海を越えて日本まで長距離輸送されると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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