研究課題
中国(青海省)、モンゴル(ウランバートル)、インドネシア(バリ)、ブラジル(サンパウロ)を訪問し、エキノコックス属、テニア属条虫を入手し、さらにマダガスカルからも有鉤条虫サンプル、ヨーロッパ各国、オーストラリアの共同研究者からも、貴重なサンプルを郵送してもらった。これらのサンプルを用い、複数個のミトコンドリア遺伝子、核遺伝子をマーカーとして用い、分子分類学的再検討を実施した。これまでに判明してきている成績は(1)テニア属条虫も大きく2群に分かれること、(2)人体寄生テニア属条虫3種類のうち、無鉤条虫とアジア条虫の交雑個体がタイ、中国から少なからず発見されたこと、(3)これまでEchinococcus granulosus sensu lato(単包条虫)1種類とみなされていたものは5種類(Echinococcus granulosus sensu strict, E.equinus, E.ortoleppi, E.canadensis, E.felidis)に再分類されること、(4)エキノコックス属条虫はE.multilocularis, E.vogeli, E.oligarthrus, E.shiquicusを合わせ、計10種類に分類できること、(5)北半球に分布しているE.multilocularis(多包条虫)は4群に分かれること、(6)ヒトでの単包虫症をひき起こすE.granulosus s.s.について南米ペルーの個体群と中国新疆ウイグル自治区ならびに青海・四川省に分布している個体群についてhaplotype解析を実施した結果、中国国内、ペルーいずれの地域でも基本タイプは全く同じであること、すなわち、非常に小さな母集団が世界に拡散したことが強く示唆される結果であったこと、(7)中国の青海・四川省に分布している多包条虫のhaplotypeも同様に非常に小さな母集団から派生したと推定される結果が得られたこと、それに引き換え(8)青海・四川省に分布している新種、E.shiquicusのhaplotypeにはbottle neck効果が全く認められず、もともとこのチベット高原に分布していた固有種であること、(9)上記(5)でこれまで3群(北アメリカ、アジア、ヨーロッパ)ならびに、中国の内モンゴルの孤立個体とされていたE.multilocularisがモンゴルからの多包虫症患者サンプル追加により、内モンゴルのhaplotype個体が2例追加され、内モンゴル個体を内モンゴル群として記載した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 23件) 学会発表 (10件) 図書 (2件)
Clinical and Vaccine Immunology 17(in press)
Infection, Genetics and Evolution 10(in press)
Acta Tropica 114
ページ: 1-16
Clinical and Vaccine Immunology 17
ページ: 470-475
American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 82
ページ: 266-269
Parasites and Vectors 3
ページ: 8
Acta Tropics 113
ページ: 248-256
Parasitology International 59(in press)
Journal of Travel Medicine 17(in press)
International Journal for Parasitology 40
ページ: 379-385
Parasitology International 59
ページ: 70-74
Neurology 74
ページ: 180
ページ: 35-39
Emerging Infectious Diseases 15
ページ: 2029-2031
Parasitology International 58
ページ: 384-389
Journal of Clinical Microbiology 47
ページ: 3191-3196
PLoS Neglected Tropical Diseases 3
ページ: e518
Parasitology Research 105
ページ: 145-154
ページ: 184-186
American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 80
ページ: 792-797
Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene 103
ページ: 255-261
ページ: 168-174
ページ: 252-254