研究課題/領域番号 |
21300008
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
八杉 昌宏 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (30273759)
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研究分担者 |
平石 拓 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (60528222)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 計算機システム / プログラミング言語 / ソフトウエア開発効率化・安定化 / ディペンダブル・コンピューティング / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 性能評価 / 負荷分散 |
研究概要 |
提案している計算状態操作機構について、設計・実装面の改善およびその活用・応用に関する以下の研究を実施した。 1.計算状態操作機構の言語仕様や実装・性能モデルの拡大・改良: 関数フレーム変換を改良した実装モデルの翻訳ベース実装を、実装技法の検討結果を踏まえて実現し、評価結果などを研究成果として学会発表した。計算状態操作機構L-closureの新しい実装モデルでは、L-closureの維持コストや生成コストを抑えたまま、呼び出しコストを削減することに成功した。コンパイラベースの実装ではGCC 4 系列への対応をまず変数をスタックに配置する場合について進めていたが、GCC 4.6.3 にてこれを実現し、L-closureの呼び出しコスト削減の一環として、評価結果などを合わせて発表した。 2.計算状態操作機構の活用・応用: 計算状態操作機構は、ごみ集めに応用可能であるが、できるだけ汎用な型付中間言語に利用する場合について、特に循環参照の初期化においてごみ集めがうまくできるかについて検討した。また、並列・分散環境における応用としては動的負荷分散に関する研究を行った。計算状態操作機構を活用した動的負荷分散により、多体問題などのアプリケーションにおいて並列化のコストを本質的に極小化できることを確認し、研究成果として学会発表した。また、データ構築といった従来の動的負荷分散が困難な方式に関して、確率的に局所性を高める方式の開発を行った。さらに分散環境における全体通信機構との連携について研究を進め、計算負荷と独立した通信の効果を確認し、研究成果として学会発表した。その他、新しい計算状態操作機構の活用としてフォールトトレランスも同時に達成する方式について新しい着想を得ており、引き続き検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算状態操作機構の言語仕様や実装・性能モデルの拡大・改良については、新しい実装モデルの翻訳ベースの実装が整うなど、おおむね順調に進展している。ただし、GCC4系列のコンパイラベースの実装において、レジスタ割り当て可能な方式が困難であることが判明した。計算状態操作機構の活用・応用については、ごみ集め、一級継続、負荷分散などのうち、ごみ集めや負荷分散について進展している。
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今後の研究の推進方策 |
計算状態操作機構の言語仕様や実装・性能モデルの拡大・改良については、GCC4系列のコンパイラベースの実装において、レジスタ割り当て可能な方式が困難であることが判明したため、初期化の遅延に焦点を合わせて改良を進める。翻訳ベース実装や再帰呼び出し点の違いによる性能差については、対外発表をさらに進めていく。
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