研究分担者 |
長谷川 隆三 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20274483)
藤田 博 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (70284552)
峯 恒憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30243851)
越村 三幸 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (30274492)
水谷 泰治 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (10411414)
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研究概要 |
(1)これまで,Linux上でクラスタマシン向けに実装開発したFuce Runtime Systemを用いて,細粒度マルチスレッド型プログラム並列実行効果を評価し,データ並列処理に対しては有効であるが,データ依存性が複雑に入り組んだ多重ループ構造をもつプログラムに対する並列ストリーム処理については,MPIを用いたクラスタマシン向け実装ではノード間転送ネックのために性能が期待できないことが分かった.そこで今年度はMPIによらない種々の実装を試み実証実験を行なった.例えば,通信処理用のコアを固定させることや,送信と受信を別プロセスとすること,キュー選択のスケジュールを行なうなどを試みたが,思うような効果が得られなかった.その原因は,(1)現状のクラスタマシンではストリーム処理プロセスの稼働率を満足させるだけの十分なデータ転送速度が得られないこと,(2)ストリーム処理が多段に連結される場合,各プロセスのストリーム送信が転送路を奪い合いストリームの流れが滞るため処理プロセスが休眠状態になること,が判明した.この結果,(1)ストリーム処理には更に高速なデータ転送が必須であること,(2)通信処理をソフトウェアで高速に行なうことは基本的に無理がありストリーム処理には通信処理専用のハードウェア装置を備えること,(3)ストリーム処理には高速転送路による大規模リング構造が適している,という結論を得た.現在そのデータ転送専用のハードウェア装置を設計している所である. (2)言語処理系に関しては,データ依存が複雑に絡む多重にネストしたループについてC言語プログラムから中間言語IMLおよびFuceマシンアセンブラ言語HALへの変換アルゴリズムを追究した.具体的には,データ依存がタイミング的に異なる多重ループにおいて多次元のストリーム処理(多重並列パイプライン処理)のプロセスを動的に生成し,タイミング遅延が起こるストリームデータの授受においてハザードを回避しながら処理を行なうマルチスレッドプログラムを構成する方法を考案し,例えばDPなどの多次元Wave-front型プログラムにおいてタイミング遅延によるプロセスのアイドル状態を回避し処理速度を上げることを可能とした. (3)Fuceの応用システムのひとつとして位置づけているマルチエージェントシステムKodamaについて,個々のエージェント上でのパーソナルなプログラムおよびデータのセキュリティを確保する手法を開発した.
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