研究概要 |
本研究の目的は,論理回路に対してフィールドテストにおける様々な制約を考慮した上で,システムのパワーオン・パワーオフの時間を利用した高品質なテスト手法を確立することにある.特に,劣化が原因となる遅延故障について,高い故障検出能力を有するテスト手法を開発する.平成21年度は,「研究1:テストキューブに対する遅延テスト品質評価手法の開発」と「研究2:縮退故障に対するテスト分割アルゴリズムの開発」を主な研究対象に研究を実施した.研究1については,SDQMと呼ばれる遅延テスト品質評価を,テストキューブで評価する手法を提案した.提案手法では,まず,テストキューブにより検出される各遷移遅延故障に対して,故障検出に使われた最長の故障伝搬経路を求め,次に、Xを含む故障伝搬経路の最大長を求めるアルゴリズムを開発した.これらの2つの値から、テストキューブの遅延テスト品質の範囲を計算した.これにより,0,1,Xで構成されたテストキューブがカバーするテストパターンのSDQLの上限値と下限値を求めることが可能になった.更に,テストキューブへの論理値の割り当てにおいて,テストの諸問題を解決するための手法を開発した. 研究2については,論理回路の単一縮退故障に対するテスト集合とテスト分割数nが与えられた時に、部分テスト集合の平均故障検出率と最低故障検出率を最大化するようなテスト分割アルゴリズムをそれぞれ開発した.本研究で仮定するフィールドでの巡回テストでは,平均故障検出率最大化には大きな意味があるが,最低故障検出率最大化の意義が小さいことが判明したため,平均故障検出率最大化に注力した.
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